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東京高等裁判所 平成元年(行コ)108号 判決 1990年8月30日

東京都千代田区内神田三丁目二〇番七号

控訴人

株式会社神田共済会

右代表者代表取締役

鯨岡亘

右訴訟代理人弁護士

松本健二

東京都千代田区神田錦町二一-三

被控訴人

神田税務署長

熊﨑正宏

右指定代理人

武井豊

東清

竹田準一

槇田俊裕

右当事者間の法人税課税処分取消請求控訴事件につき、当裁判所は、次のとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

一  控訴代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人が昭和五七年九月一六日付けで控訴人の昭和五四年五月一日から昭和五五年四月三〇日までの事業年度の法人税についてした更正並びに重加算税及び過少申告加算税の各賦課決定を取り消す。被控訴人が昭和五七年六月三〇日付けで控訴人に対してした昭和五五年六月分の源泉徴収に係る所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定を取り消す。訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。」をの判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。

二  当事者双方の主張については、左に付加、訂正するほか、原判決事実摘示のとおりであるからこれを引用する。

1  原判決四枚目裏九行目の「損金の額に算入するとともに未払金に振替経理」を「未払い金に振替経理するとともに損金の額に算入」と改め、同八枚目表四行目「不算入額」の次に「二九万三七〇四円」を加える。

2  同一四枚目裏六行目の次に行をかえて次を加える。

「4 仮に、右合併が認められないとしても、亘らに対する未払退職金は、控訴人が富士忠物産から譲り受けた営業権の対価として同社に支払うべきところをその支払いに代えて、富士忠物産がその退職役員であった亘らに支払うべき役員退職金として支払うこととしたものであるから、その実体は、営業権の対価もしくはその償却費として損金に算入できるものである。」

3  同一五枚目表三行目の次に行をかえて次を加える。

「4 同4は争う。控訴人が未払退職金に相当する営業権を富士忠物産から譲り受けた事実はなく、右の対価もしくはその償却費として損金に算入することはできない。」

三  証拠関係は、原審の書証目録及び証人等目録のとおりであるから、これを引用する。

理由

一  当裁判所も、控訴人の本訴請求は、いずれも失当として棄却すべきものと判断するが、その理由については、原判決二二枚目表二行目「得ない。」の次に「なお、控訴人は、当審において、本件未払退職金は、その実体において控訴人が富士忠物産から譲り受けた営業権の対価もしくはその償却費であるから損金に算入できると主張するが、富士忠物産が昭和五二年五月には営業を終了していたことは前記認定したとおりであって、本件事業年度において控訴人が富士忠物産から営業権の譲渡をうけた事実を認めるに足る証拠はない。」を付加するほか、原判決がその理由において説示するところと同一であるから、これを引用する。

二  以上の次第で、控訴人の本訴請求を失当として棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、控訴費用の負担につき行政訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 野﨑幸雄 裁判官 沢田三知夫 裁判官 板垣千里)

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